自動車エンジンの仕組み

ターボチャージャーその1

前回解説した過給機の種類のうちのひとつです。

前回の復習ですが過給機は
「たくさんの空気をエンジンのシリンダへ供給するシステム」です。
過給機の一種であるターボチャージャーは
「たくさんの空気をエンジンのシリンダへ供給する方法」として、
排気ガスのエネルギーを利用しています。

排気ガスのエネルギーと
言われてもわかったような、わからないような。。。
エネルギーという言葉、
何か物事をわかりにくくするんですよね。
ということで、具体的にどのようにしてたくさんの空気をエンジンの
シリンダへ送っているのかその方法について簡単に説明していきます。

燃焼したガスはエンジンの排気行程でピストンの上昇により排気ガス
として排気管へ押し出されます。

この排気ガスの流れのなかにタービン(風車のようなもの)を置くと
排気ガスの流れによってタービンが回ります。
このとき、このタービンの回転軸のもう片方の端に別の風車をつけ
るとその風車も回転します。タービンが回転することで軸を共有す
るもう一方の風車もつられて回転するということです。
この一方の風車をエンジンの吸気管内に置くことで、
風車の回転によりエンジンのシリンダへ空気をたくさん送り込みます。
これを過給と言っています。

過給する側の風車はコンプレッサーと呼ばれ扇風機を想像してもらうと
わかりやすいと思います。

以上のようなシステムで過給することにより小さな排気量のエンジン
で大きな排気量のエンジンと同等の出力を得ることができます。

次にターボチャージャーがスーパーチャージャーより
優れている点・劣っている点を挙げたいと思います。

優れている点:
捨てるはずの排気ガスエネルギーを利用しているため、無駄が少ない。

劣っている点:
アクセルに対するレスポンスが悪い。
これは、エンジンの回転が上昇して排気ガスの流量が増えタービンが
回転し過給するという一連の流れの中でどうしても遅れが生じてしま
うためです。

なお比較対象のスーパーチャージャーは次々回に解説したいと思います。

また、ターボチャージャーはガソリンエンジンよりもディーゼルエンジンと
相性が良いと言われています。実際、ディーゼル車にはほとんどの車種に
ターボチャージャーが付いています。

なぜ、相性が良いか?
理由を考える上でのポイントとして以下のことが挙げられます。

・過給された空気は、圧縮され温度が高い。

・ディーゼルエンジンは
空気のみを圧縮し、噴射する燃料量によって出力を調整する。

・ガソリンエンジンは
空気と燃料を混ぜた混合気を圧縮し、吸う空気量で出力を調整する。

「ターボチャージャーその2」では、このポイントをもとにディーゼルエンジン
とターボチャージャーの相性が良い理由を述べたいと思います。

過給機前のページ

ターボチャージャーその2次のページ

関連記事

  1. 自動車エンジンの仕組み

    ガソリン

    皆さんご存知の、車を走らせるための燃料です。最近は本当にガソリ…

  2. 自動車エンジンの仕組み

    グロープラグ

    グロープラグは、ディーゼルエンジンに関係する用語です。グロープ…

  3. 自動車エンジンの仕組み

    ガソリン噴射装置

    ガソリンエンジンの燃料噴射装置が、今まで書いてきたディーゼルエンジンの…

  4. 自動車エンジンの仕組み

    コモンレール

    「コモンレール」は、ディーゼルエンジンの燃料噴射装置で、「レールと呼ば…

  5. 自動車エンジンの仕組み

    ターボチャージャーその2

    「過給機」、「ターボチャージャーその1」に続いて、今回は「ターボチャー…

  6. 自動車エンジンの仕組み

    スパークプラグ

    スパークプラグは、ガソリンエンジンの点火装置です。ガソリンエン…

  1. 自動車エンジンの仕組み

    排出ガス(ディーゼルエンジン)
  2. 自動車エンジンの仕組み

    直噴エンジンその2
  3. 自動車エンジンの仕組み

    ターボチャージャーその1
  4. 自動車エンジンの仕組み

    エンジンの排出ガス
  5. 自動車エンジンの仕組み

    ディーゼルエンジン
PAGE TOP